CPUは第13世代のインテルCoreプロセッサー、Windows 10も選択可能

VAIO Pro PG」は8月29日に発表されたVAIO株式会社の最新モデル。OSはWindows 11 Pro/Windows 11 Home/Windows 10 Pro(ダウングレード)、CPUは「Core i7-1365U」/「Core i7-1355U」/「Core i5-1345U」/「Core i5-1334U」を用意。組み合わせの制限はあるものの、個人向けの「VAIO S13」よりもOS、CPUの選択肢が多くなっています。特にWindows 10 Proを選択できるのが法人向けとしては嬉しいところです。

メモリーは8GBまたは16GB(LPDDR4X)、ストレージは256GBまたは512GB(PCI Gen3 x4接続SSD)を用意。32GBメモリー、1TBストレージは選択できません。ここはちょっと残念ですね。

本体サイズは299.3×221.1×17.7~19.6mm、重量は約1.072kg~1.084kg。カラーはブラックとブロンズの2色を用意。ボディはアメリカ国防総省制定「MIL-STD-810H」に準拠した品質テストをクリアしています
底面は樹脂製。梨地処理が施されており、ラフに扱っても傷は目立ちにくいです
右側面にはUSB 3.0 Type-A×2、HDMI×1、Thunderbolt 4×1、有線LAN×1を用意
左側面にはセキュリティーロックスロット×1、電源端子×1、USB 3.0 Type-A×1、3.5mmコンボジャック×1を装備

「VAIO Pro PG」の売りの1つがWWANに対応していること。しかも、物理的なnanoSIMとeSIMのどちらも利用可能です。WWAN対応モデルでは、Wi-Fi環境がない場所でもシームレスにネットワーク接続を利用できます。もちろんスマホでテザリングなどを利用可能ですが、やはりノートPCがWWANに対応しているほうが、スマホでの数アクションなしにネットワーク接続を利用できるので快適。WWAN対応はモバイルノートPCのラストピースだと思います。

WWAN対応モデルには底面奥側にnanoSIMカードスロットが用意されています。カバー&プッシュイン・プッシュアウト方式なのでSIM取り出しピンなどは不要です

縦に120ドット多いのでブラウジングや書類作成時の前後の見通しがよい

そして「VAIO Pro PG」最大の売りが前述のとおり16:10のアスペクト比の13.3型WUXGA液晶(1920×1200ドット、1677万色、アンチグレア)ディスプレイ。16:9のフルHD液晶(1920×1080ドット)と比べると縦に120ドット多いので、ブラウジングや書類作成時の前後の見通しがよいのです。

実際今回デフォルト設定でブラウジングした際には、「VAIO Pro PG」の16:10(1920×1200ドット)表示では3行多く表示されました。表示領域が多いと、それだけスクロールの回数も減ります。16:10のアスペクト比のディスプレイはビジネス向けノートPCの必須条件と言えます。

「VAIO Pro PG」は16:10のアスペクト比の13.3型WUXGA液晶(1920×1200ドット、1677万色、アンチグレア)ディスプレイを搭載
色域や輝度は公表されていませんが、明るく、発色豊かに画像を表示可能。アンチグレアで照明の映り込みがほとんど目立たないのも長所です
左が16:10(1920×1200ドット)、右が16:9(1920×1080ドット)表示。わずかの差と思えるかもしれませんが、一度16:10のアスペクト比に慣れると、16:9には戻れません

個人的にはVAIOのキーボードが全ノートPCのなかで一番好き

VAIOのモバイルノートPC共通の美点がキーボードの使い勝手。キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.5mmが確保されており、打鍵感も良好。文字キーはすべて等幅に揃えられているので、すべてのキーに自然に指が伸び、記号キーを打つ際に狭苦しく感じることもありません。上下カーソルキー以外はすべてのキーが離れているので、誤入力しにくくてよいですね。

そしてなにより防指紋加工が施されており、手脂が付着しにくいのが非常にいい。リップサービス抜きに、個人的にはVAIOのキーボードが全ノートPCのなかで一番好きです。ただタッチパッドは、そろそろ物理ボタン式ではなくダイビングボード式に変更してほしいなーと思います。

キーボードはかな文字ありの日本語配列
ディスプレイを開くとキーボード面に適切な傾斜がつきます
ディスプレイ上部には92万画素ウェブカメラ、顔認証カメラ、ステレオマイクを内蔵。プライバシーシャッターも装備されています
電源ボタンは指紋認証センサー一体型。個人的には指紋認証のほうが確実に動作するので好みです

USB Power Delivery対応のUSB ACアダプターが同梱されていないのは残念

少々残念なのがACアダプター。せっかく軽量なモバイルノートPCなのにUSB Power Delivery対応のUSB ACアダプターが同梱されていないんですよね。専用ACアダプターは「VAIO Pro PG」でしか使えませんが、実測223.1gとかさばります。コンパクトなUSB ACアダプターに統一してほしいところです。

パッケージには本体、ACアダプター、電源ケーブルが同梱
ACアダプターの仕様は入力100-240V~1.5A、出力19V 3.42A、容量65W
本体(WWAN対応モデル)の実測重量は1060g

クリエイティブ系アプリも動作させられるだけのパフォーマンス

最後にパフォーマンスをチェックしましょう。今回はCPUベンチマーク「CINEBENCH R23」、3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.4」を実施しました。結果は下記のとおりです。

「CINEBENCH R23」を1回実行した際のCPU(Multi Core)は8359pts、CPU(Single Core)は1821pts
「CINEBENCH R23」を10分間実行した際のCPU(Multi Core)は6939pts、CPU(Single Core)は1826pts
「CINEBENCH R23」を10分間実行した際のCPU温度とクロック周波数の推移
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは7353(やや快適)
「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリードは3110.11MB/s、シーケンシャルライトは1170.12MB/s

「CINEBENCH R23」を1回実行した際のCPU(Multi Core)は8359pts。低消費電力、低発熱が売りのUプロセッサーである「Core i7-1355U」を搭載していますが、マルチスレッド性能が高いですね。10コア、12スレッド、5.00GHz動作のCPUだけに、クリエイティブ系アプリも動作させられるだけのパフォーマンスを備えています。

ただ「CINEBENCH R23」を10分間実行した際のCPU(Multi Core)は6939ptsとスコアが83%相当に落ちました。ベンチマーク実行中のCPU温度は平均71.09℃前後となっており、安定性重視のチューニングとなっているようです。

「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは7353(やや快適)。平均フレームレートは53.03fpsとなっていました。「Apex Legends」クラスのゲームであれば1080p解像度で実用的な速度で動作すると思われます。ぜひ仕事の合間の息抜きに楽しんでみてください。

ストレージの速度はシーケンシャルリードで3110.11MB/s、シーケンシャルライトで1170.12MB/sです。PCIe Gen3 x4接続のSSDとしては順当な結果です。昨今のノートPCは高速なPCIe Gen4 x4接続のSSDが採用されていることが多いです。カスタマイズの選択肢としてはPCIe Gen4 x4接続のSSDもほしいですね。

ビジネスに使い倒すモバイルノートPCとして非常に魅力的な選択肢

「VAIO Pro PG」は「世界最速」とか「世界最軽量」などを謳う製品ではありません。しかし、性能、使い勝手、剛性などのバランスが取れたマシンに仕上げられています。スタミナ性能についても、51Whのリチウムイオンバッテリーが内蔵されており、JEITA Ver.2.0で約21.5時間のバッテリー駆動時間が確保されています。実際の使用時間で10時間はしっかりと超えてくるでしょう。

「ビジネス向けモバイルノートPCの最適解」と謳う「VAIO Pro PG」は、まさにビジネスに使い倒すモバイルノートPCとして非常に魅力的な選択肢と言えます。