紹介するDXサービス:eYACHO for Business 6 Ver.6.5(MetaMoJi)、SmartBee(京セラみらいエンビジョン)、帳票DX モバイルエントリー(オプロ)

インフラの保守・点検業務を効率化したい

鉄道や電気といった重要インフラの保守・点検を担う企業や人材が減少を続け、2030年にはメンテナンスが成り立たなくなると言われている。重要インフラのメンテナンスが滞ってしまうと、機能が停止もしくは低下し、社会に大きな混乱を招く恐れがある。そうした危険を回避するために、業界の現場DX推進が求められている。こうした背景を踏まえ、保守・点検業務における作業報告書のデジタル化を促進するサービスを提案する。

人的ミスや不正記録の防止につながる

 インフラの保守・点検業務における作業報告書には、慣れ親しんだ方法として紙や帳票が用いられている。しかし、紙ベースで行う作業報告書の作成は資源を浪費するというだけでなく二つの課題がある。

 一つ目が、人的ミスや不正の発生だ。紙に記録を行うのは人の手であるため、記載漏れや不正記録の可能性がつきまとう。さらに、紙の作業報告書に記載された点検作業の結果をPCなどに入力する際にも、転記ミスや不正記録が発生する可能性がある。二つ目が時間外労働の増加だ。現場作業者は現場での作業完了後、事務所に戻り作業報告書をはじめとした書類を作成する。移動時間などによって労働時間が増加してしまうのだ。

 こうした課題を解決するために、作業報告書のデジタル化が求められている。作業報告書をデジタル化することによってどのようなメリットがあるか。人的ミスや不正記録を防止できるのに加え、場所を問わずに作業報告書を作成可能なことによる時間外労働の減少を実現する。さらに、データの一元管理も可能だ。管理業務の負担を減らせる。加えてトラブル発生時にも過去のデータを参照すれば、迅速にトラブルに対応でき、時間外労働の削減にもつながる。

報告書の作成にかかる時間を最小限に

 それではどのような機能を持つ報告書作成ツールを導入すれば良いだろうか。求められる機能をチェックしていこう。

 一つのノートに同時に複数の人が書き込めたり、ほかのリモート会議システムや携帯電話を使用することなくビデオ通話ができたりするシステムを活用すれば、現場の状況をリアルタイムで正確に共有可能だ。伝達ミスによる手戻りを削減する。

 報告書上に表示される作業項目が色で区別されていれば、一目で現在の作業状況が分かり、現場の作業漏れを防げるだろう。さらに、全ての作業が完了するまで報告書の作業完了ボタンを押下できないように設定しておけば、現場の作業員が1人で作業完了のダブルチェックが行えない場合でも安心だ。

 現場作業後にオフィスに戻って行っていた作業内容のデータ転記や報告書作成といった業務は作業者の長時間労働につながってしまう。現場で入力されたデータと、顧客情報や機器情報といった業務システム上のデータを組み合わせて出力可能なサービスであれば、報告書の作成にかかる時間を最小限にとどめてくれる。

 今回はMetaMoJi、京セラみらいエンビジョン、オプロに製品を提案してもらった。

データを共有しながら同時書き込み

eYACHO for Business 6 Ver.6.5

MetaMoJi
ベーシック版クライアントライセンス:3,520円/月

 照度計や電流計といった各種計測機器の測定値を帳票にそのまま入力可能な施工管理支援アプリ「eYACHO for Business 6 Ver.6.5」(以下、eYACHO)を提案する。

 eYACHOはタブレット上で、手書きでの書き込みに加え、写真・動画・音声を帳票に貼り付けられ、現場で報告業務をスムーズに完了できる。作成した帳票の各所への承認依頼はオンラインでスピーディーに行えるため、時間外労働時間の減少にもつながる。

 検査記録表や安全衛生日誌をはじめ、日報や月報を自動生成できるテンプレートを搭載。さらに、施工管理帳票に関するノウハウをテンプレート化した「スマートテンプレート」を備える。スマートテンプレートでは、帳票内のボタンをタップするだけで書類操作を自動で実行できる。また画像認識AIを用いることで、Excelで管理している帳票の電子化を実現する。内容の変更も容易なため、現場の運用に合わせて柔軟にカスタマイズ可能だ。

 一つのノートに同時に複数の人が書き込める「シェア」機能を搭載。事務所と現場など離れた場所でも作業間の連絡調整などをスムーズに行える。加えてビデオ通話機能「GEMBA Talk」を活用すれば、ほかのリモート会議システムや携帯電話を使用することなく、図面に同時書き込みをしたり、現場の様子を共有したりしながら会議が可能だ。現場の状況をリアルタイムで正確に共有できるため、伝達から発生する手戻りを削減する。

 現場の状況に合わせて、安全管理用のチェックリストをAIが動的に作成するシステム「安全AIソリューション」を備える。作業者や現場の状況に最適な内容を表示することで、個々人の経験や知識に依存しない安全衛生管理を可能にする。業務の効率化に加え、労働安全災害の未然防止・再発防止も実現する。

作業者の作業漏れや入力ミスを防止

SmartBee

京セラみらいエンビジョン
初期費用:11万円
40Gbyte:5万5,000円/月

 カメラや筆記用具、マニュアル、現場図面といった点検業務に必要な道具をスマートデバイス1台に集約可能なクラウドサービス「SmartBee」を提案する。

 SmartBeeは、スマートデバイス上に表示された作業項目を入力し、入力した情報から作業報告書を出力できる。表示される作業項目は未入力の作業は赤字、完了した作業は青字と色で分かりやすく区別され、全ての作業が完了するまで作業完了ボタンを押下できないように設定可能なため、作業漏れを発生させない。また、入力項目をプルダウンやラジオボタンといった選択形式にすることで入力ミスも防げる。

 表示される作業項目は業務に合わせて柔軟に組み合わせられる。テキストの自由入力や選択形式、写真、音声、動画も入力形式として設定できる。また、作業報告書のフォーマットも既存のフォーマットをそのまま流用可能なため、サービス導入後もエンドユーザーに導入前と同様の報告書を提出できる。

 Webブラウザー対応のため、PC、タブレット、スマートフォンとデバイスや場所を選ばずにサービスを利用できる。またオフライン環境でも作業項目の入力が可能なため、現場の通信状況が悪い場合でも報告書作成に支障を来さないのだ。

 現場となる物件情報・現場で実施すべき作業内容の登録や、作業依頼のチケット発行を行えるため、管理業務の効率化も実現する。未確認のお知らせ、期日を超過した作業、異常のあった作業、作業予定といった進捗状況はダッシュボードで統合的に管理される。管理者は把握しておきたい情報をすぐに確認できる。

 現場作業者に加え、管理者の業務も効率化するサービスを京セラみらいエンビジョンは提供する。

帳票ライクな入力フォームを備える

帳票DX モバイルエントリー

オプロ
初期費用:13万2,000円
13万2,000円/月

 クラウド環境に構築された業務管理システムとオフラインでも双方向にデータ連携可能なモバイル入力システム「帳票DX モバイルエントリー」を提案する。

 帳票DX モバイルエントリーは、紙の帳票レイアウトを入力フォームとしてタブレットやスマートフォン、PC上の画面に表現する。そのため、紙の帳票で報告業務などを行っていた現場作業員も直感的な入力が可能だ。キーボード・音声入力やチェックボックス、選択リスト、カレンダーによる日付入力、ドラムロールによる時刻入力、Salesforceやkintoneといったクラウドサービスに登録されている取引先情報や作業担当者情報などの関連情報を呼び出して登録する「関連レコード参照」、写真の添付といった場面に応じたさまざまな入力方法を備えている。また、データ入力は特許を取得している仕組みによってオフラインでも入力可能で、オンライン状態であるかを気にすることなくデータ入力や参照ができる。

 現場目線での機能も豊富だ。MetaMoJiの日本語手書き入力「mazec for Business」を用いた手書き入力も可能だ。作業完了時に顧客のサインをもらったり、手書きのメモを残したりもできる。

 現場での入力が完了した帳票はSalesforceやkintoneといったクラウド上で確認可能だ。現場で入力されたデータと、顧客情報や機器情報といったクラウド環境上のデータと組み合わせて、PDFやOfficeの帳票ファイルとして出力できる。従来、オフィスに戻って行っていた報告書作成といった作業の効率化につながる。さらに、現場で入力した帳票の作業ステータスが完了に変更されたとき、報告書を自動作成する「自動リクエスト」機能も備えている。

 現場での作業から報告書作成までの業務をつなげることで、業務全体の最適化を実現してくれる。

※価格は全て税込