今月のテーマは……
Google Workspace に「 NotebookLM 」が登場!
仕事に変革をもたらす活用方法を紹介

Google は、企業ならびにコンシューマーに向けて、広く生成AIサービスを開発、提供してきました。それぞれのサービス、開発機能が長所を持っているため「企業向けの Google Workspace に〇〇で搭載されている機能が使えたらいいのに」という感想をお持ちの方も多いと思います。そんな方に朗報です。企業向けの Google Workspace に、「 NotebookLM 」※という強力なAIツールが組み入れられたことをご存知ですか? 今回は、NotebookLM によって私たちの仕事がどのように変わるのか、そのメリットを紹介します。

庄司大助(Dandy)
所属:グーグル・クラウド・ジャパン
パートナーエンジニアリング本部
役職:パートナーエンジニア
経歴:大学卒業後、日系の中堅企業のIT部門で、ITインフラ担当者として入社後、自動車系IT企業にて、ネットワークエンジニアを経験。その後、マイクロソフトにて、10年以上にわたり、オンプレミスからクラウドまで幅広くプリセールス活動に従事。現職に至る。

情報の海をAIがナビゲート!

「 NotebookLM 」は現在、実験的なアプリとして位置付けられていますが、大量のドキュメントを要約したり、複雑な情報を整理したりするといったさまざまな用途に利用できます。さらには新しいアイデアを生み出すのにも役立つ、まさに“未来型ノート”です。NotebookLMによって、私たちの仕事がどのように変わるのか、見ていきましょう。

 NotebookLMは、Google ドキュメント、Google スライド、PDFなど、さまざまな形式のファイルをアップロードして、AIに分析させることが可能です。もちろんファイルそのもののアップロードだけではなく、取り込むデータのURLを指定してもOKです。そしてなんと、テキストだけではなく、音声データを取り込めるので、Google の大規模言語モデル(LLM)「 Gemini 1.5 Pro 」の特長でもあるマルチモーダルなパワーを生かして、文字起こしもできます。

ノートを作成すると最初に表示されるウィザード画面。ここにデータをアップロードさせる。

必要な情報に瞬時にアクセス

 大量の資料をAIが要約してくれるので、時間をかけて情報を探す必要はもうありません。もちろん、翻訳もしてくれますので、外国の学術書も日本語で内容を確認可能です。今回は、日本の総務省が発表している「令和6年版情報通信白書」と、米国の商務省国家電気通信情報局が出している「人工知能のアカウンタビリティに関する政策報告書」をソースとして取り込んでみました。なお、NotebookLMは、一つのノートにソースは50個まで、一つのファイルサイズ200MBまでのものを取り込めますので、Gemini 1.5 Pro の大容量のデータをさばく能力が遺憾なく発揮されていることを感じ取れます。

 今回は、取り込んだ二つのレポートに対し「日米の生成AI活用の課題」について聞いてみました。すると、日本と米国における課題を回答してくれるだけではなく、どの部分を基に答えたか? というリンクも張ってくれました。

 また、二つの資料の関連情報を提示してくれるので、相関関係を探るといった複雑な情報も簡単に理解できます。まるで、優秀なリサーチャーがいつも隣にいてくれるような感覚ですね!

 今回作成したノートにいくつかの情報を取り込んで、特定のテーマのノートとして作成した後も、追加情報があれば、ソースとして取り込めますし、さらにそこから新たな洞察を得ることも可能です。ノートとしての備忘録だけではなく、知識、記憶の上積みを行い、どんどん情報を濃密なものにしていけます。

取り込んだデータを基に資料の要約や関連情報を表示してくれる。

創造性を刺激するAIパートナー

 NotebookLM は、単なる情報整理ツールではありません。アップロードしたファイルの内容に関する質問に答えてくれるので、要約だけではなく、AIとの対話を通して新しいアイデアを生み出すこともできるのです。例えば、複数のファイルの内容を組み合わせて、今までにない視点からの考察を促してくれたり、ブレインストーミングの話し相手として、より効率的にアイデアをまとめてくれたりします。

 NotebookLM は、私たちの貴重な時間を節約してくれるまさに「時短の救世主」です。先述のように、レポートの内容を理解し、そこから情報を得て考察をまとめるといった時間を大幅に短縮できます。

 NotebookLM は、Google の利用規約の対象となる追加サービスで、Google Workspace の利用規約は現時点で対象となっていませんが、NotebookLM でのアップロード、クエリ、モデルの応答はモデルの改善のために、利用されることはありません。

 さあ、NotebookLM で、未来のワークスタイルを体験してみませんか? 今回は、Google Workspace に導入された NotebookLM を紹介しました。NotebookLM は、私たちの仕事に革新をもたらす可能性を秘めたツールです。ぜひ、その力を体感してみてください!

※NotebookLM の Google Workspace への組み込みについての発表はこちら。

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