高いセキュリティで工事関連の
機密情報も安全に共有
株式会社ルクレ
2025年に75歳以上の後期高齢者の人口割合が増え、極端な少子高齢化になることが「2025年問題」と呼ばれている。この問題は建設業にも影響を与え、労働者の高齢化などによるデジタルデバイドの発生が懸念される。この解決に取り組むのが、建設業の業務効率化を支える「蔵衛門」を展開するルクレだ。ルクレでは蔵衛門シリーズの製品にAWSを採用し、建設業の働き方改革を後押ししているという。
クラウドプラットフォーム
[AWS編]
建設業の全業種だけでなく
他業界でも活用が進む蔵衛門
ルクレはミッションに「デザイン×アイデア×ITで すべての人を次の世界へ」を掲げ、AIによる画像解析技術をはじめとした画像・動画に関わる技術を活用して自社サービスを展開している企業だ。顧客のリアルな業務プロセスを理解した上でサービスの企画・開発を行うことにこだわっており、利用者のITリテラシーを問わない分かりやすいサービスの提供を強みとしている。
そんなルクレが注力している事業分野が、建設業界向けの工事写真事業だ。工事写真からはじめる建設DXプラットフォーム「蔵衛門」として、現場に関わる関係者がつながることで現場を加速できるサービスを展開する。プラットフォームを利用するための「蔵衛門プレミアム」と、現場用タブレット「蔵衛門Pad」の提供を行う。蔵衛門プレミアムの導入によって、現場や事務所で工事写真・電子黒板・写真台帳・図面を共有可能なデータストレージ、電子黒板の作成や撮影ができるアプリ、台帳作成が行えるソフトウェアをオールインワンで使える。一つの工事で数百〜数万枚の写真を撮影する建設業では従来、工事写真の整理は現場監督が担っていた。しかし蔵衛門プレミアムや蔵衛門Padを導入すれば、工事写真の整理をオフィス勤務の従業員にも割り振れるようになる。これにより、写真整理にかかる現場監督の残業時間を大幅に減らせるのだ。
ルクレ サービス営業部 アライアンスGr. 阿部雅美氏は、蔵衛門の反響をこう語る。「建設業は土木工事業、建築工事業、電気工事業など29業種の分類がありますが、蔵衛門はその29業種全てで利用されています。導入していただいている企業の規模もスーパーゼネコンさまから町の工務店さままで幅広く、8万社以上のあらゆる建設業の方々に活用していただいています。さらに最近では建設業以外でも導入が広がってきており、製造業やプラントメンテナンス業、清掃業といった写真での記録を必要とする業界でも蔵衛門が選ばれています」
建設業が抱える課題を
解決するためにクラウド本格化
建設業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する蔵衛門で業務効率化の大きな鍵を握るサービスが、どこでも工事写真や図面を見られる蔵衛門プレミアムだ。1996年に誕生して以降、建設業に貢献するサービスを提供し続けてきた蔵衛門が、なぜクラウド化に踏み切ったのか。その理由を阿部氏は次のように話す。「蔵衛門は長年建設業を支えてきたリーディングブランドとして、建設業の課題の解決を目指さなければならないという使命があると考えています。そのため2024年の時間外労働の上限規制を前に、2021年8月に工事に関わる現場監督、職長、職人、設計者、発注者など建設業に携わる500万人の方に向けて蔵衛門のリブランディングを行いました。その際に蔵衛門プレミアムをリリースし、クラウドサービスを本格化させました。従事する方々の高齢化や人手不足などもあり、従来からあるパッケージソフトで現場監督の業務を効率化するだけでは、建設業の問題の解決には至らない状況になっています。クラウドで業務を共有し分担することによってぐっとDX化が進み、建設業の問題解決の糸口になると思っています」
こうした思いで提供を開始した蔵衛門プレミアムは、現在多くの顧客に受け入れられているという。「蔵衛門プレミアムはフリートライアルが可能で、お客さまにはその効果を実感した上で、導入していただいています。従来のパッケージソフトを使っていたお客さまはもちろん、新しく蔵衛門を使い始める方もクラウド化以降増えてきたと感じています。またクラウドで工事写真をはじめとした情報が協力会社なども含め共有できることにより、工事の分業やBPOがやりやすくなったとの声をお客さまからいただいています。蔵衛門の利便性が高まったことでさまざまな顧客へ導入が広がっていることを感じています」
高いセキュリティ要件と
コスト面を理由にAWSを採用
建設業の業務効率化を支える蔵衛門で採用しているのが、AWSだ。阿部氏は、蔵衛門でAWSを採用した理由を次のように語る。「一番の理由はセキュリティの確保です。工事写真や図面をはじめとした工事に関わるデータは、当然ですが機密情報になります。そのため選定の際はセキュリティに関する要件を気にしており、AWSはその点で一番安心できたため採用しました。セキュリティについて厳しい要件があるお客さまでも、AWSを採用していることを説明すると納得して蔵衛門を導入していただけます」
また、セキュリティ以外にも採用したポイントがあるそうだ。「コスト面も採用した理由の一つです。利用量に応じた課金体系になっているので、そのときに必要な分だけ支払えばよく、コスト削減が行える点にも満足しています」(阿部氏)
続けてAWSの活用展望を「サービスを始めてから、どんどん扱う写真の枚数やデータ量が増えています。そのため当社の運用として、今後さらに適切な使い方で効率化ができるよう開発側で改善をしていきます」と話す。そして最後に阿部氏は、蔵衛門をはじめとした今後のビジネス展開について「人手不足や高齢化が課題となる建設業は、大企業と中小企業でのデジタルデバイドも問題となっています。迷わず使える蔵衛門の導入で、企業規模の格差をなくしDXを実現できるよう、ダイワボウ情報システム(DIS)さまや販売店さまと一緒に展開を広げていきます」と意気込みを話した。