Officeアプリをフル活用できる
2画面折りたたみ式スマートフォンが初上陸

日本マイクロソフト「Surface Duo 2」

2020年から米国などで先行販売されていたものの、日本では販売に至らなかった折りたたみ式の2画面スマートフォン「Surface Duo」。今回は、本製品に寄せられたフィードバックを基に開発され、2022年1月11日に国内での提供を開始した、Surface Duoの第2世代となるスマートフォン「Surface Duo 2」を取り上げる。OSにはAndroidを採用しつつも、“マイクロソフトらしさ”を提供するというSurface Duo 2は、ビジネスにどんな機動性のある未来をもたらすのか。
text by 森村恵一

手に持った感覚はまるで文庫本

三つのレンズで構成された3眼背面カメラを搭載。レンズは上から超広角、広角、望遠の撮影に対応している。

 Surface Duo 2は、5.8インチの液晶画面を二つ採用した折りたたみ式スマートフォンだ。本体を開くと画面サイズは縦145.2×横184.5mmで8.3インチの画面サイズになり、本体を360度折りたたんだ状態では縦145.2×横92.1mmとなる。手に持った感覚は文庫本のようで、とても携帯しやすいサイズ感と言える。旧モデルから大きく進化したポイントは、背面カメラだ。先代モデルであるSurface Duoには背面カメラが搭載されていなかったが、Surface Duo 2では三つのレンズで構成された背面カメラが新たに搭載され、0.5~10倍のズームやワイド、ポートレート撮影を実現している。一つの画面で被写体を捉えながら、もう一つの画面に撮影した画像をプレビュー表示できる点は、2画面ならではの撮影スタイルと言えるだろう。

 Surface Duo 2のインターフェースは、USB Type-Cを一つ備え、充電だけでなく外部モニターに接続して画面を拡張することもできる。また、本体の側面にある電源ボタンは指紋認証に対応。電源ボタンを押し込めば、折りたたんで画面を閉じた状態でも現在の時刻やバッテリー残量、着信通知などが表示される。実際にボタンを押し込んでみると、各メニューの視認性にも優れていた。5G通信に対応しており、SIMカードスロットも用意されているが、物理的なSIMカードが不要なeSIMにも対応している。現在eSIMに対応したモバイル端末は限られているため、大きなアドバンテージとなるだろう。

 別売りで、タッチペン「Surface スリム ペン 2」や本体を保護するバンパーなどのアクセサリーも豊富に用意されている。中でも、タッチペンをマグネットで取り付けられる保護カバー「Surface Duo 2 ペン カバー」を装着すると、Surface スリム ペン 2がしっかりとマグネットで固定されて充電できるようになる。磁力が強力なため、カバンに入れて持ち運んでもペンが外れてしまう心配はないはずだ。

 Surface Duo 2であれば、「Microsoft Teams」(以下、Teams)でWeb会議などをする際の利便性も高められる。一般的なスマートフォンでもTeamsを利用できるが、通話相手の顔か、プレゼンテーションのいずれかから、大きく表示させるコンテンツを選ばなければならない。PCならばマルチウィンドウの利用にあまり支障はないが、1画面しかないスマートフォンでは大きく表示させるコンテンツに限界があった。しかし、Surface Duo 2なら片方の画面に通話相手を表示しつつ、もう片方の画面にプレゼンテーションを表示できる。

二つの画面をつないでいるちょうつがいの可動部分は硬すぎず緩すぎず、とても滑らかに本体を開閉できる。
時刻のほか電話着信の件数、受信した無料通話アプリのメッセージの未読件数を表示可能だ。

2画面でOfficeアプリ利用も可

 Surface Duo 2は、PC版のWindowsとも連携可能で、PC側で使ったファイルの履歴などもSurface Duo 2で参照できるようになる。Android版のOfficeアプリは、Windows版と比較すると使える機能に制限はあるが、文字入力や表計算などの基本的な編集操作は可能だ。また、DaaS型のクラウドPCサービス「Windows 365」をSurface Duo 2で利用すれば、PCで利用するのと変わりなくMicrosoft 365が使える。外部モニターへの映像出力にも対応しているため、Bluetooth接続に対応したマウスやキーボードを併用すれば、ノートPCやデスクトップPCと同じような運用が可能で、その気になれば、スマートフォンだけで仕事を完結できてしまうのだ。

 本体はガラスコーティングされていて、高級感がある。さまざまなシーンでの活用に対応する多機能性に見た目の上質さも兼ね備えたことで、移動の多いエグゼクティブや営業担当者にとっても、心強いモバイルデバイスとなるはずだ。質感の高さでも魅力的なハードウェアである点は、ほかのSurfaceシリーズに共通しているところだ。Surface Duo 2においては、2画面をフルに生かしてOfficeアプリを活用できるあたりが、ソフトウェアの販売会社でありながら多様な事業を展開してきた“マイクロソフトらしさ”を表している。ニューノーマル時代を見据えた次世代のモバイルデバイスとして、注目に値する1台だ。