紹介するチャットボットのサービス:HUEチャットボット(ワークスアプリケーションズ)、AI-FAQボット(L is B)、OfficeBot(ネオス)

チャットボットを活用して社内の問い合わせ対応を省力化したい

ハイブリッドワークの定着など職場環境の変化に伴い、総務・管理部や情報システム部門といったバックオフィスでは社内からの各種問い合わせが増えている。問い合わせが増加する中、人員増加の計画がないことが多く、バックオフィスの部門は本来の業務に集中できなくなっている。そうした背景を踏まえ、社内の問い合わせ対応を省力化するチャットボットを提案する。

チャットボット導入の落とし穴

 チャットボットの導入には、二つのメリットがある。一つ目が、問い合わせ業務にかかる負担の軽減だ。担当者の代わりにチャットボットが問い合わせに対応することで、担当者が対応する問い合わせの数を減らせる。二つ目が、24時間365日問い合わせを受け付けられることだ。そうすることで、深夜や土日でも業務を行う現場も、土日休みの本社に問い合わせを行えるようになる。

 しかし、チャットボットを導入しただけでは、効果を発揮しないこともある。チャットボットの導入や運用で陥りがちな課題として、導入やメンテナンスに時間と手間がかかることがある。回答精度の高いチャットボットを作成するためには、登録するQ&Aが利用者の求める回答かどうかを精査したり、Q&Aの数を確保したりする必要がある。そのためチャットボットの導入・メンテナンスを行うには、専任の担当者を配置しなければならなくなってしまう。

 また、導入したチャットボットの回答精度が低いことによって、利用が中断されてしまうこともある。結果として、担当者に問い合わせが来てしまい、導入の意味がなくなってしまう。

 導入作業やメンテナンスに時間と手間がかからず、ユーザーに利用されるチャットボットを用いることで、初めて社内の問い合わせ対応の省力化につながるのだ。

Q&Aの準備にかかる時間と手間を削減

 それでは、社内の問い合わせ対応の省力化につなげられるチャットボットの特長を見ていこう。

 チャットボットは多くのユーザーが利用するため、問い合わせの文章の表現は一つひとつ異なる。こうした文章の揺らぎがあっても、一貫性のある回答を行いたい。ユーザーのさまざまな質問の表現の幅を理解・吸収することで、日本語特有の表記の揺れも正確に判断するサービスならば、曖昧な表現の問い合わせにも対応できる。

 普段使用しているツールとチャットボットを連携できれば、シームレスに問い合わせを行える。ビジネスチャットツールやグループウェア、Webサイトと連携することで、ユーザーの認知度向上にもつながる。

 チャットボットの導入に当たっては、Q&Aの準備に時間と手間がかかりがちだ。就業規則や申請リストといった社内のドキュメントをアップロードするだけでチャットボットの利用を開始できるサービスが有用だ。管理者はQ&Aの準備にかかる時間と手間を削減でき、ユーザーは知りたい情報が掲載されているドキュメントを探す必要がなくなるのだ。

 今回はワークスアプリケーションズ、L is B、ネオスに提案してもらった。

曖昧な表現の質問にも対応

HUEチャットボット

ワークスアプリケーションズ
8万円〜/月

 管理者向けダッシュボードから、問い合わせ件数の推移、エスカレーションが発生した問い合わせ件数といった利用状況の確認や、Q&Aの追加・修正作業を行えるチャットボット「HUEチャットボット」を提案する。

 HUEチャットボットは、ワークス徳島人工知能NLP研究所が開発・提供・メンテナンスを行う自然言語処理辞書「SudachiDict」を備えている。SudachiDictと専用の大規模な言語資源によって、大規模な辞書を登録する必要がなく、用意するQ&A数も削減できる。さらにユーザーのさまざまな質問の表現の幅を理解・吸収することで、日本語特有の表記の揺れも正確に判断する。曖昧な表現にも対応可能だ。

 HUEチャットボットの導入に当たり、複数階層のシナリオ分岐や文字装飾、リンク・画像の挿入といった導入作業をGUI上の画面で行える。すでにQ&Aがある場合や、Q&Aの数が多い場合は、CSVファイルをアップロードすることで一括登録・更新が可能だ。プログラミングといった専門知識が必要ないため、誰でもチャットボットの導入作業を行える。

 チャットボット導入の際に、手間がかかることからQ&Aの準備が障壁となることが多い。HUEチャットボットはChatGPTと連携することで、Webサイトから取得したドキュメントおよびアップロードしたマニュアルや社内規程など関連文書のファイルからQ&Aの作成や、問い合わせへの回答ができる。Webサイトやドキュメントの内容の更新も取得可能なため、メンテナンス作業の大幅な削減につながるのだ。

 ユーザーのさまざまな表現の幅を理解・吸収して、曖昧な要望に応え、導入・運用も容易なチャットボットだ。

普段使用しているツールと連携

AI-FAQボット

L is B
3万円/月(QA数:1〜100問まで)

 PCやスマートフォンからでも問い合わせ可能なマルチデバイス対応のチャットボット「AI-FAQボット」を提案する。

 AI-FAQボットは、Microsoft TeamsやSlack、L is Bのビジネスチャットツール「direct」をはじめとしたさまざまなビジネスチャットツール・グループウェア・Webサイトと連携できる。普段使用しているツールからシームレスに問い合わせが行えるのだ。

 AI-FAQボットのUIは誰にでも使いやすく直感的に操作可能だ。Webページに設置したアイコンをクリックする、またはビジネスチャットツール・グループウェアからAI-FAQボットのユーザーを選択するだけで、問い合わせを開始できる。チャットボットに問い合わせを行う時は、表示されたQ&Aのカテゴリーボタンを選ぶ、または直接テキストを入力することで、求める回答を得られるのだ。

 データ作成・管理やメンテナンスも容易に行える。AI-FAQボットのQ&Aデータの登録は、事前に質問と回答をExcelに入力して管理画面上に登録するだけでいいため、AI専任者を配置する必要がなく誰でもチャットボットを開始できる。Q&Aの追加やメンテンナンスはオンラインで可能なため、運用の手間もかからない。また言葉や表現の揺れに対し、同社の特許技術を活用した自動学習機能を用いることで、質問や回答に未登録の単語でも2回目以降は内容に沿った回答が出せるように自動学習する。

 社内データをチャットボットといった外部サービスにアップロードする場合、サイバー攻撃などによる情報漏えいに不安がある。AI-FAQボットは、情報セキュリティマネジメントの認証基準「JIS Q27001:2014(ISO/IEC27001:2013)」の認証を取得している。

 ビジネスチャットツールとの連携などによって、社内での利用を促進し、総務や人事、情報システム部などの負担を軽減できる。

Q&Aを用意する必要がなくドキュメントで回答

OfficeBot

ネオス
5万5,000円〜/月
※キャンペーンや機能、プランにより異なる。

 マイクロソフトが提供するAzureの最先端のAIサービスを活用することで、企業の情報資産を有効活用し、社内データとの対話を実現するチャットボット「OfficeBot」を提案する。

 OfficeBotは、大規模言語モデルに外部知識を拡張することで、生成結果の信頼性と安定性を向上させる技術「Retrieval-Augmented Generation」(RAG)を使用している。標準のChatGPTは企業内部の知識がなく一般情報からの回答のみであるが、OfficeBotはRAGの手法を用いることで企業内部の知識を基にした質の高い回答を行える。利用シーンや業界、業種、規模を問わずに活用できる。

 RAGによる回答精度を確保するためには、質の高い検索結果をChatGPTに渡すことが重要だ。OfficeBotは、検索エンジンにマイクロソフトの情報検索プラットフォーム「Azure AI Search」を採用することで、より高い精度での情報検索を実現している。大規模言語モデル「GPT-4」にも対応しており、質問に対して、登録されているドキュメントから必要な情報を効率よく探索し、要点を整理して回答を表示する。さらに対話の中で情報検索の幅を広げることが可能だ。回答根拠として文書名がリンクで表示され、リンクからは文書の原本も確認できる。

 管理者は、管理画面からOfficeドキュメントやPDFをアップロードするだけで構築と運用が可能であり、細かい学習作業などは一切不要だ。既存の社内データをそのまま有効活用できる。そのため、管理者はQ&Aを作る手間の削減につながり、利用者は知りたい情報が掲載されているドキュメントを探す必要がなくなる。

 マイクロソフトの言語AI学習サービス「Azure OpenAI Service」により、情報漏えいの心配なく利用できる高セキュリティなRAGサービスを、低価格で提供する。

※価格は全て税込