基調講演では「インテル Core Ultra シリーズ2」を搭載するPCを披露したPCメーカー16社のマーケティング担当者が紹介され、日本のAI PC市場を盛り上げていくことをアピールした。

「インテル Core Ultra シリーズ2」を9月25日に発売
「Copilot+ PC Powered by インテル Core Ultra シリーズ2」も11月から提供開始

「Intel Connection」が昨年に続き9月3日と4日の2日間にわたって都内で開催された。今年は「Bringing AI Everywhere」をテーマに掲げ、AIを生かした製品やソリューションがビジネス、エネルギー、公共、教育のそれぞれの分野でどのような効果をもたらすのかについて講演と展示で紹介された。ここではAI PC向けCPUの新製品が発表された9月4日のハイライトをレポートする。

AI PCは通常のPCの正常進化 今年11月にCopilot+ PCに対応

インテル 技術本部 部長 工学博士 安生 健一朗氏が「インテル Core Ultra シリーズ2」のAI処理性能や電力効率について具体的に説明した。

 「Intel Connection Japan 2024」の最大のハイライトは2日目の基調講演で発表されたインテルのノートPC用CPUの新製品である「インテルCore Ultraプロセッサー シリーズ2」(以下、Core Ultra シリーズ2)だろう。

 Core Ultra シリーズ2は今年6月、台湾・台北で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2024」において「Lunar Lake(開発コード名)」として技術的な詳細が明らかにされていた。Intel Connection Japan 2024では正式なブランド名と製品仕様、そして製品ラインアップが公開された。

 Core Ultra シリーズ2はIntel Connection Japan 2024での発表の直前にドイツで発表(現地時間9月3日)され、すでにOEMメーカーなどに出荷が開始されている。また9月24日(米国時間)からグローバルで販売が開始される予定だ。

 またCopilot+ PCにも対応可能としており「Copilot+ PC Powered by インテル Core Ultra シリーズ2」を今年11月から、PCメーカー各社を通じて順次提供を開始することも発表された。ちなみに11月までに出荷されるCore Ultra シリーズ2搭載PC製品は、無償アップデートでCopilot+ PCに対応するという。

 基調講演に登壇したインテルの代表取締役社長 大野 誠氏は「昨年発売したCore Ultra シリーズ1を搭載するAI PCが市場に支持され、同CPUは9カ月間で2,000万個出荷しました」とアピールした。

 そして「AI市場の急速な成長に向けてインテルはさらなる取り組みを進めていく中で、今後のAI PCの発展に向けてCore Ultra シリーズ2を発表しました」と話し、同CPUを搭載するPCメーカー各社のAI PCの最新製品を披露した。

インテルの代表取締役社長 大野 誠氏は基調講演において、「インテル Core Ultra シリーズ2」の実物を披露して正式発表した。
「インテル Core Ultra シリーズ2」の120 TOPSのAI処理性能を生かすローカル処理AIソフトウェアが実演された。

120 TOPSのAI処理性能など 高性能と電力効率を両立

インテル 執行役員 マーケティング本部 本部長 上野晶子氏はAI PCの活用を促進するためのインテルの支援策を説明した。その一つである開発者向けのディスコードコミュニティ「AI PC Garden」について、「開発者一人ひとりのタネ(アイデア)を花開かせて、いろいろな種類の花(AIソフトウェア)が生まれることを期待しています」と強調した。

 Core Ultra シリーズ2はAI処理性能と電力効率が革新的に進化しているとインテルは主張する。それについてインテル 技術本部 部長 工学博士 安生健一朗氏が具体的に説明した。安生氏はまず「AI PCは通常のPCとして使えないのかと聞かれることがありますが、AI PCはPCが正常進化した姿です」と説明した。

 明らかにされたCore Ultra シリーズ2の主なパフォーマンスは、Core Ultra シリーズ1に対してスレッド当たりの性能が最大3倍、CPUの電力効率が最大2.29倍、GPUの電力効率が最大2倍に向上している。安生氏は「シリーズ1では14スレッドでしたが、シリーズ2ではスレッド数を8に減らして性能を向上させています」と説明する。

 こうした特長などによってCore Ultra シリーズ2の電力効率を大幅に向上させている。

 Core Ultra シリーズ1に対して同シリーズ2ではパッケージ全体の消費電力を最大50%低減し、ワット当たりの性能を最大2倍に、GPUの電力効率を最大2倍に、そしてCore Ultra シリーズ2を搭載するノートPCのバッテリー寿命(連続使用時間)を、最大20時間(Procyon Office Productivity Benchmarkでの検証結果)に向上しているという。

 安生氏は「AI PCはPCとしても利用されます。ですからAI処理性能だけではなく、ビジネスアプリケーション利用時の性能と電力効率の向上も実現しています。またNPUだけではなくGPU、CPU共に高い性能と電力効率を実現しているCore Ultra シリーズ2には、ソフトウェア開発者が使いたいプロセッサーを使って最適な性能とユーザー体験が実現できるメリットもあります」と説明する。

 なおAI処理性能の指標であるTOPS値(AI処理を1秒間で何兆回できるかを表す)は、Core Ultra シリーズ2のGPUが最大67 TOPS、NPUが最大48 TOPS、CPUが最大5 TOPS、プラットフォームで120 TOPSを誇る。

 インテル 執行役員 マーケティング本部 本部長 上野晶子氏は「AI PCの価値を生かすには、AIを活用するソフトウェアを充実させなければなりません。インテルはAI機能やAIアプリケーションの開発者を支援する活動を以前より展開しており、今後もソフトウェアベンダー各社と協力して推進していきます」と市場の活性化に向けた取り組みをアピールした。

 講演で上野氏は開発者向けのディスコードコミュニティである「AI PC Garden」を紹介し、「開発者一人ひとりのタネ(アイデア)を花開かせて、いろいろな種類の花(AIソフトウェア)が生まれることを期待しています」とアピールした。

セミナー会場に併設された展示会場には「インテル Core Ultra シリーズ2」を搭載するPCが披露された。
展示会場に「インテル Core Ultra シリーズ2(開発コード名:Lunar Lake)」の実物が展示された。