どこでも電源を確保できる
テーマ:ポータブル電源を活用しよう
今回はポータブル電源を紹介する。簡単に言ってしまえば、大きなバッテリーなのだが、果たしてモバイルバッテリーとは何が違うのだろう? また、これを手に入れて会社で使う価値はあるのだろうか。ちょっと深掘りして紹介していこう。災害対策だけではないメリットがある。
電気がないと仕事ができない
近年は、電気に対する要求が増えている。例えば冷暖房にも電気を利用し、キッチンも電化されるケースが多くなった。企業も電気がないと仕事にならないだろう。昔は、紙の帳簿や在庫管理表、顧客の住所録などがあったのだが、今は電気が使えないとどうにもならない。
個人でも、スマホやPCが使えないと仕事は完全に止まる。今でも紙の手帳を使っている人は、こんなときに安心なのだ。とはいえ、スケジュールの共有もできないので、チームの仕事では使うこと自体がちょっと古い。
要するに、電気を使うデバイスや仕組みは非常に便利で生産性も高いために、そこにシフトしてきたのがこれまでの流れだ。
災害の多い昨今だけに、停電時の対策もしておきたいところだ。地域全体が停電するような災害であれば、取引先や同僚にも仕事が止まっていることが伝わるだろう。だが、何らかの故障やちょっとした工事などで、自分の家や会社だけが停電している場合には「連絡が取れない」と言われてしまうケースも出てきそうだ。
今回紹介するポータブル電源は、会社や自宅を丸ごと動かすような電力は持っていない。冷蔵庫を動かすのも無理がある。だが、PCやスマホは利用可能なので、仕事ならある程度のことはできるだろう。
燃料を使った発電機の方が出力ははるかに強いのだが、価格が高く重いために扱いが大変だ。また、燃料を備蓄しておく必要があるし、排気が出るものは室内では利用が難しいなど、簡単には使いづらい。
その点、ポータブル電源は、ちょっと大きなバッテリーと思えば良く、誰でも気軽に利用できる。もちろん、燃料は不要で排気の心配もない。
まずは容量をチェック
ポータブル電源を選ぶ際には、まず容量を確認しよう。電池と同じで、大容量になるほど、本体も重く、大きくなるのは当然だ。もちろん価格も上がる。よって、大は小を兼ねると考えるのではなく、ベストな製品を探したい。大容量を1台買うより、小さな容量の製品を2台買う方が便利なケースもある。例えば、異なる2カ所のフロアで利用できるからだ。
ポータブル電源の容量は、100,000mAhといった形で表記されている。これはスマホ向けのバッテリーと同じ感覚で捉えればいいだろう。50,000mAhなら、5,000mAhのモバイルバッテリーの10倍の容量があると考えれば分かりやすい。一般的なスマホなら、8~10台程度は充電できるはずだ。PCなら2~3台はフル充電できる。もちろん、スマホやPCは、機種によってバッテリーの容量が異なるので、あくまでも目安だ。
今回例として紹介するベステックグループの「BESTEK ポータブル電源」は60,000mAhなので、スマホなら10~12台程度、PCなら2~3台はフル充電できる。とりあえず必要な分は賄えるだろう。
もちろん、会社の規模によって必要なだけ台数を増やせばよい。ただし、ポータブル電源には、ほかのバッテリーと同様に寿命がある。同時に買うと同時に寿命が来るので、1年おきに買い足すなどちょっと工夫することをお薦めする。
ポートも重要
製品選びでは、ポートもよく確認しておこう。USB-Aポートとコンセントが付いている製品がほとんどだ。コンセントがあることで、さまざまな電気製品が利用できる。
ポートは数も重要で、スマホやPCを同時に何台充電できるか確認しておきたい。同時に複数台の製品に充電できれば、いざというときに重宝する。
例えば、スマホ10台に充電できるポータブル電源を手に入れても、フル充電する必要はない。半分の容量なら20台、1/4なら、40台は充電できるのだ(あくまでも計算上)。複数のポートがあれば、多くの製品を順次何割か充電できる。
ただしポート数が少ないと充電待ちが多くなってしまう。つまり、うまく製品を選び、工夫して使えば1台のポータブル電源でも相当役に立つわけだ。
PCへの充電はAC出力を使えばACアダプターでほぼ全ての機種に対応できる。最近増えているUSB PD対応のPCなら、USB PDでも充電できる。BESTEK ポータブル電源は、シガーソケットの出力も持っているので、車用のデバイスも利用できる。
普段から利用する
ポータブル電源は、日常的にも使える。在宅勤務用に手に入れておくと、何かと役に立つ場面が出てきそうだ。季節がいいときには、ベランダにPCやモニターを置いて、仕事ができる。気分転換にも適している。キャンプや釣りなどのレジャーに使うこともできる。では、会社ではいかがだろう。
会社でも、案外出番は多い。例えば、電源を確保しづらい屋上や玄関前などでデバイスが利用できるようになる。先日もあるビルの入り口に、コロナ対策として検温器とアルコールを自動で噴出する機械が置かれていた。だが、普段は電気を利用しない場所なので、コンセントがないためにポータブル電源で運用されていたのがとても興味深かった。こんなケースで、長い延長コードを延々と引くと、見た目に美しくない上に、つまずく人も出てくる。
コロナ禍が終了すれば、各種のイベントに利用できる。屋外でのイベントでもPCを使いたいことは多いだろう。参加者をチェックするためにPCを長時間使うようなケースでも、ポータブル電源が1台あれば大活躍するはずだ。休日には社員の福利厚生として貸し出してもいい。
言うまでもないが、災害対策として利用するためにも、常に使い終わったら充電し、普段から容量をキープしておくことだ。自然放電もするので、数カ月に1度は容量をチェックしよう。
Profile
Toda Satoru
1963年生まれのビジネス書作家。株式会社アバンギャルド/戸田覚事務所代表取締役。著書累計100冊以上。企画やプレゼンに関する著書も多数。連載もついに40本を超えてさらに活躍中。