新しいパートナープログラム「Lenovo 360」で
「ピープル」「プラットフォーム」「プログラム」を統合

Partner Support Strategy 1

レノボ・ジャパン / レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ

レノボ・ジャパンとレノボ・エンタープライズ・ソリューションズは従来のハードウェアを中心とした販売活動から、エンドツーエンドのソリューションをサービス主導で販売するビジネスへの主軸を変えていく。その動きを支えるためにレノボ・ジャパンとレノボ・エンタープライズ・ソリューションズはパートナービジネスを統合し、新たにパートナー事業本部を設置するとともに、パートナープログラムも「Lenovo 360」に統合した。今後はLenovo 360によるパートナー支援策を年単位、月単位で改善を進めてパートナーと共に成長を目指す。

エンドツーエンドでシームレスに
ソリューションを提供するために

レノボ・ジャパン
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ
パートナー事業本部
執行役員
荒木俊彦 氏

 レノボ・ジャパンおよびレノボ・エンタープライズ・ソリューションズが取り組みを進めるパートナービジネスの変革について、市場が「成果基盤型経済」へと変化していることを背景として挙げる。

 例えば顧客がPCやサーバーなどのIT製品を購入する場合、製品そのものを手に入れることが目的ではなく、それらを利用して画面越しに何かをしたいという目的を持って購入する。その目的は顧客によって、あるいは業務や環境によってさまざまであるが、いずれにしても顧客はベンダーやパートナーが提供するソリューションに対して、成果を求めている。

 そうした顧客の期待に応えるには、顧客の要望や課題に対して最適な製品やサービスを組み合わせて、顧客が成果を得られるソリューションとして提供する必要がある。

 そこでレノボ・ジャパンおよびレノボ・エンタープライズ・ソリューションズはそれぞれのパートナープログラムを統合し、新たに「Lenovo 360」を提供して、「ポケット(デバイス)からクラウドまで」エンドツーエンドのソリューションをワンストップで顧客に提案、提供する体制を整えた。

 Lenovo 360では「ピープル」「プラットフォーム」「プログラム」の三つの領域で統合している。まずピープルにおいては、レノボ・ジャパンとレノボ・エンタープライズ・ソリューションズのそれぞれのパートナービジネスにおける営業部門をパートナー事業本部に統合した。レノボ・ジャパンおよびレノボ・エンタープライズ・ソリューションズのパートナー事業本部で執行役員を務める荒木俊彦氏は「レノボ・ジャパンとレノボ・エンタープライズ・ソリューションズのパートナービジネスにおける営業部門をパートナー事業本部に統合したことでデバイスとインフラで案件情報を共有でき、お客さまが求めるソリューションや、お客さまへの提案がエンドツーエンドでシームレスに行えるようになり、パートナーさまとのビジネスもスムーズかつスピードアップできます」と話を続ける。

組織統合に向けて1年前から準備
パートナーへの情報提供も集約

 レノボ・ジャパンとレノボ・エンタープライズ・ソリューションズのパートナービジネスにおける営業部門の統合はグローバルで推進されており、欧州では去年の秋から、日本およびアジアパシフィックでは今年4月から進めている。

 荒木氏は「今年4月の組織統合に向けて、1年ほどかけて準備を進めてきました。レノボ・ジャパンの営業担当者はサーバーやストレージなどのインフラ製品を売るためのトレーニングを受け、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの営業担当者はPCなどのデバイスを売るためのトレーニングを受けてきました」という。

 準備期間中も担当外の案件を受けた場合、社内およびグループの担当者に案件をつなぐ体制も築き、ワークフローを整備していた。ちなみに従来はPCの担当者にサーバーの案件が来た場合は、パートナーは改めてサーバーの担当者に連絡をしなければならなかったという。

 プラットフォームも統合した。レノボ・ジャパンおよびレノボ・エンタープライズ・ソリューションズではこれまでもパートナーに向けてさまざまな情報を発信してきたが、チャネルがばらばらでパートナーが利用しやすい環境とは決して言えなかった。そこでパートナー向けの情報を「Lenovo Partner Hub」に集約し、Lenovo Partner Hubにアクセスしてログインすれば、パートナー向けの全ての情報にアクセスできるようにした。

 荒木氏は「現在、Lenovo Partner Hubで提供している情報やサービスが全てではなく、これから継続的に内容を充実するとともに、仕組みを拡張していきます。特にパートナーさまと当社の営業担当者とのやりとりをできる限り自動化して工数を削減できる仕組みづくりに力を入れていきたいと考えています」と強調する。

 そしてレノボ・ジャパンとレノボ・エンタープライズ・ソリューションズでそれぞれ提供されていたパートナープログラムがLenovo 360に統合された。

ディストリビューターと共に
自動化の仕組みを構築する

 Lenovo 360が目指すパートナービジネスの方向性について荒木氏は四つのステップを示す。最初のステップはオペレーションの効率化だ。これはLenovo 360で実施した三つの統合で実現されている。二つ目が製品ポートフォリオを拡充することで顧客の要望により幅広く応える。三つ目が、成果にどう貢献するのか、成果に対してどれだけ支払ってもらえるのかというas a Serviceビジネスの推進で、ここが現在地だ。そして当面のゴールが自動化だ。

 荒木氏は「複雑化するソリューションを分かりやすく、売りやすくパートナーさまに提供するために、またお客さまも簡単に導入、利用できるよう、商談から契約、導入、利用、サポートまでを自動化していく仕組みをディストリビューターさまと構築していくことが、今後の最も重要な取り組みです」と強調する。

コアビジネスと成長ビジネスの両輪で展開
三つのテーマでパートナープログラムを推進

Partner Support Strategy 2

デル・テクノロジーズ

ビジネスの創出という二つの領域で成長を加速させる。その目標達成に向けてパートナープログラムも強化された。2022年より提供されているパートナープログラムでは「成長の最大化」と「トランスフォーメーションの実現」、そして「エクスペリエンスの合理化」という三つのテーマに主眼を置いた取り組みが推進されている。

as a Serviceでコアビジネスを伸ばす
成長ビジネスからコアビジネスを創出

デル・テクノロジーズ
常務執行役員
パートナー事業本部長
入澤由典 氏

 デル・テクノロジーズでは同社の強みを発揮してビジネスを継続的に成長させてきたPCなどのデバイスや、サーバーとネットワークによるインフラストラクチャ、そしてストレージの三つの領域をコアビジネスと位置付けている。

 一方でエッジ、テレコム、マルチクラウド、データマネジメント、AIや機械学習等の新しい領域を成長ビジネスと位置付けており、コアビジネスと成長ビジネスの両輪で成長を目指している。

 デル・テクノロジーズ 常務執行役員 パートナー事業本部長 入澤由典氏は「コアビジネスではas a Serviceでソリューションを提供する『APEX』を加えることで、さらなる成長を目指しています。また成長ビジネスからコアビジネスを創出していくことにも注力していきます」とビジネスの方針を語る。

 こうした同社の市場戦略を推進するために、2022年はパートナープログラムにおいてもトランスフォーメーションを推進している。同社のパートナープログラムを振り返ると、2016年は米国でデルとEMCが合併し、それに伴い両社のパートナープログラムを統合するという大きな変化が訪れた。

 統合された異なるビジネスのパートナープログラムを機能させるべく、運用の安定化に注力するとともに、旧デルのパートナーにはストレージの販売を促し、旧EMCのパートナーにはPCやサーバーの販売を促すことで、合併の相乗効果を引き出す施策を展開した。

 さらに2020年は国や地域で異なっていたパートナーのランクや認定基準を五つの地域に分類してそれぞれで統一し、Online Solutions Configurator(現在はDell Solutions Configuratorに改称)と呼ばれる構成作成ツールの提供も開始した(日本では2021年より提供を開始)。そして2022年より提供されているパートナープログラムでは「成長の最大化」と「トランスフォーメーションの実現」、そして「エクスペリエンスの合理化」という三つのテーマに主眼を置いた取り組みが推進されている。

変化するビジネスの実態に
パートナープログラムを適応させる

成長の最大化ではビジネス環境の変化に伴い顧客の要求も変化しており、それに応えられるようデバイス、サーバーおよびネットワーク、ストレージにおける各製品ポートフォリオを拡充することで、パートナーの再販ビジネスの成長に貢献する。

 トランスフォーメーションの実現では、新しいソリューションを導入しやすくするAPEXの利用を顧客に促進することで、パートナーのビジネスに貢献する。同時にパートナーがビジネスの拡大に注力できるよう、見積や受発注などデル・テクノロジーズとのやりとりを自動化することで、事務作業の負担を軽減する仕組みやツールを提供する。こうした事務作業の自動化などの施策を通じて、デル・テクノロジーズとの協業での成功体験を高めていくことが、エクスペリエンスの合理化となる。

 さらに再販パートナー、クラウドサービスプロバイダー(CSP)パートナー、OEMパートナーに個別に提供していたプログラムも「ワンプログラム」として統一した。その理由について入澤氏は「再販パートナーさまがCSPビジネスに進出する、エッジのビジネスではOEMパートナーさまとの連携が必要になるケースが増えるなど、ビジネスの境界がなくなっていくとみています」と説明する。

 パートナーへの情報発信にも注力する。例えば「パートナーポータル」ではパートナーへの情報発信をはじめ案件登録等の処理、サーバーやストレージのサイジング、構成作成をオンラインでスピーディーに支援する。また「Heroes・徹底攻略塾セミナー」ではトレーニングやセミナーを高い頻度で実施している。そのほか製品やソリューション、キャンペーンの情報や各種資料などを提供する「情報ガイドステーション」もある。

 同社のこうした取り組みは「日経コンピュータ」(日経BP社)が実施した「パートナー満足度調査 2022」においてサーバー部門と法人向けPC部門で首位を獲得するという形でも評価されている。特に技術支援・情報提供については前年度から6.6ポイント評価が向上したという。

パートナービジネスのフォーカスポイント
パートナーを増やすための支援も強化

 これから注力する施策について入澤氏は「コアビジネスであるデバイス、サーバーおよびネットワークに関しては、ディストリビューターさまの在庫型ビジネスをさらに推進することでサプライに影響されることなく、パートナーさまにタイムリーに製品を提供していきます」と説明する。

 また「案件を登録していただき、パートナーさまがこれまで築き上げてこられたお客さまとの関係性や、ビジネスの中から新たな案件を一緒に創出していきたいと考えています。登録していただいた案件について支援を手厚くします。これはコアビジネスと成長ビジネスの両方で実施します」と強調するとともに、APEXの推進やクロスセルの推進を促進するプログラムも充実させていくという。

 入澤氏は「昨今のさまざまな大きな変化によってビジネスが複雑化しています。こうした状況下ではディストリビューターさまの調整力がビジネスの成功につながります。実際にディストリビューターさま経由のビジネスが大きく伸びています。ディストリビューターさまが当社製品を取り扱うパートナーさまを増やしていただくための支援を、これからもしっかりとやっていきます」とアピールする。