Special Feature 2
ニューノーマル時代を導く
次世代型店舗
新型コロナウイルスの感染拡大で、世界は大きく変わった。その中でも特に影響を受けているのが、飲食業や宿泊業、小売店業といった対面でのコミュニケーションが必要となる業種だ。ウィズコロナ・アフターコロナに向けてこれらのビジネスを継続、そして拡大させていくためにはITソリューションのさらなる活用が不可欠となる。本特集では実際にITソリューションを導入した3業種の店舗や施設の実態から、次世代の店舗の在り方を探った。
非接触型レストランで安心して食事
ニューノーマルに対応した非接触型次世代レストラン。そう銘打たれ2020年7月6日にオープンした「THE GALLEY SEAFOOD & GRILL by MIKASA KAIKAN」(以下、THE GALLEY SEAFOOD & GRILL)は大きな注目を集めた。ウィズコロナ時代の飲食店のシステムを、PC-Webzine編集部スタッフの体験リポートとともに追いかけていこう。
THE GALLEY SEAFOOD & GRILL 編
THE GALLEY SEAFOOD & GRILLを営業する三笠会館は、ウィズコロナ時代における安全・安心とホスピタリティに満ちたレストランを目指し、タブレット端末による注文や非接触式サラダバー、そしてキッチンオペレーションの効率化を、テクノロジーによって実現している。
ウィズコロナ時代のサラダバー
この次世代レストランに、POSシステム、テーブルトップオーダー、キッチンディスプレイ等のテクノロジーサービスを提供したのが、Mt.SQUAREだ。
Mt.SQUAREは、ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」や、和食レストランチェーン「とんでん」などに対し、飲食店運営を効率化するテクノロジーソリューションを提供している。今回の三笠会館に納入したシステムについて、Mt.SQUARE CSO 山口成一氏は「当初は、タブレットからメニューを選んで注文するテーブルトップオーダーと、キッチンオペレーションを効率化するキッチンディスプレイを三笠会館さまに納品する予定でした。しかし、コロナ禍により店舗オープンのボトルネックとなったのが、サラダバーでした」と振り返る。
当初、サラダバー形態の店舗を営業することは難しいと思われたが、料理のオーダーのみに使用する予定だった客席のテーブルトップオーダー(タブレット)端末からサラダバーの食材を指定して注文できるよう改良を実施。注文を受けた食材をスタッフが盛り付けるスタイルへと変更したという。盛り付けたサラダはKeenon Roboticsの自動配送ロボット「ピーナッツ」が運ぶことで非接触サラダバーを実現した。
高級感のあるリッチなオーダーUX
テーブルトップオーダーは、来店者ごとに消毒済みのタブレットを手渡し、注文はテーブルから行うことで接触機会を減らしている。Mt.SQUAREのテーブルトップオーダーはiPadのWebブラウザーベースで動作し、店舗の高級感を損ねない。自由な画像でレイアウトできるため、メニューブックのようにリッチで美しい画面を作成できる。
また三笠会館が導入したキッチンディスプレイは、同社のキッチンオペレーション改善のために新たに各テーブルの状況が分かる機能を開発している。オーダー一覧とテーブル一覧を自由に切り替えられ、キッチンに居ながらにしてホール全体を俯瞰できるのだ。サラダバーにもキッチンディスプレイを設置し、来店者からのオーダーを確認しながら適切な盛り付けとサラダバーへの補充を可能にしている。
「コロナ禍によって飲食店は大きな影響を受けており、以前の客足は戻らないだろうと言われています。そうした環境の中でもお客さまに店舗に来てもらうためには、非接触をキーワードにしているだけでは難しく、お客さまの目的意識に訴求したブランディングが重要になります。また、モバイルオーダーやテーブルトップオーダーのようなITシステムで店舗運営を効率化することにより、間接コストを下げて売上を上げていくことも重要です。ニューノーマルの新しい飲食店経営に向けて、当社のテクノロジーサービスを展開していきたいですね」(山口氏)