1984年、サン・マイクロシステムズが「The Network is the Computer」というスローガンを提唱した。あれから40年たった現在、インターネットが世界的なネットワークの基盤となり、あらゆるデバイスがIP網でつながるようになって、かつてのスローガンは当たり前になった。その結果、ネットワークにつながるデバイスには多くの利便性がもたらされるのと同時に、数多くのセキュリティリスクが横たわるようになった。こうしたリスクを回避するため、多くのシステム管理者やネットワーク技術者が、日々システムの監視を行っている。そうした膨大な労力を軽減し監視者の働き方改革につながる最新テクノロジーが、ジュピターテクノロジーが提供する「SolarWinds Observability Self-Hosted」だ。
ネットワーク監視を強化する必要性
40年前は、まだ多くのコンピューターはスタンドアロンか、閉域ネットワークの中で動作していたので、ネットワークを厳格に監視する必要はなかった。しかし現在は、ランサムウェアといったさまざまなサイバー攻撃がネットワークを通して襲ってくる。その脅威から社内のシステムを守るためには、ネットワークの監視が必須の課題となっているのだ。それに加えて、社員がネットワークを通して適切に社内外のアプリやサービスを利用しているかどうかも監視しなければならない。そのほかにも、多くのIoT機器が導入されている製造現場などでは生産ラインが正しく機能しているかを確認するために、ネットワークの監視は必須の取り組みとなっている。
こうした課題を解決するために、昔からネットワーク監視システムが導入されてきたが、増大するリスクと監視そのものの重要性が増している。そこで注目されているのが、AIを活用した運用監視を実現する統合運用管理システムだ。ジュピターテクノロジーが提供する「SolarWinds Observability Self-Hosted」は、ネットワークをはじめサーバーやアプリケーション、データベースなど、ネットワークで結ばれているあらゆるITの情報を統合し分析することで、ネットワーク障害の根本原因を可視化し自動修復する。新しい運用管理を実現するソリューションの導入は、システム管理に忙殺されている管理者のワークスタイルをスマートに革新してくれるのだ。
監視からオブザーバビリティへ進化
SolarWinds Observability Self-Hostedは従来のネットワーク監視を、可観測性を意味するオブザーバビリティへ進化させられる。これまでの監視ツール全般は、ネットワーク、システム、アプリケーションなど個々の要素を監視する機能のみを提供していた。そのためシステム管理者は監視対象ごとに個別のツールを導入し、それぞれ異なる管理ソフトやダッシュボードを確認して、問題が起きていないか判断し、発生したトラブルにどのように対処するか検討しなければならなかった。それに対してSolarWinds Observability Self-Hostedは、システムの利用者が分析や問題特定、修復までを対応できるようになる。SolarWinds Observability Self-Hostedが具体的にどのような監視を可能にするかは、構成モジュールの一覧から確認できる。構成モジュールの一覧は以下の通りだ。
・ネットワーク機器監視
・ネットワークトラフィック分析
・ネットワーク機器の設定管理
・IPアドレス利用状況の監視
・ネットワーク接続デバイスの管理
・ログ管理と分析
・サーバーとアプリの監視
・サーバー設定変更の検出・比較
・仮想マシンの監視と管理
SolarWinds Observability Self-Hostedを日本で提供しているジュピターテクノロジーによれば、これらのモジュール構成一覧にある監視機能を複数のツールの組み合わせで対処している企業であれば、監視からオブザーバビリティへの進化を提案できる可能性が高いという。例えば製造現場に数多くのIoT機器や管理用PCを導入しているケースでは、閉域IPネットワーク網の中で個々の機器に固有のIPアドレスを割り当てている。数台の運用規模であれば、固有のIPアドレスをメモやExcelのワークシートなどで管理できるだろうが、数十台の規模になると手作業での管理には限界がある。仮にDHCPサーバーをローカルで運用していたとしても、個々の機器にどのIPアドレスが割り当てられているのかを調べるのは苦労する。こうした課題をSolarWinds Observability Self-HostedのIPアドレス利用状況の監視モジュールが解決する。IPアドレス利用状況の監視では、ネットワークに接続されているIoT機器やPCのIPアドレスを自動的に調査して管理、監視する。DHCPサーバーの管理化でもIPアドレスを収集できる。
ハイブリッド環境にも対応
SolarWinds Observability Self-Hostedが監視可能な対象は、オンプレミスだけではなくパブリッククラウドも含まれる。パブリッククラウドを利用している環境をSolarWinds Observability Self-Hostedで監視すれば、構築されているインスタンス数も把握できる。DX推進でパブリッククラウドを契約したところ、現場で勝手にインスタンスを増やしてしまい、サービスの無駄遣いが目立つようになったケースにも有用だ。
そのほかにも、WindowsのイベントログをSolarWinds Observability Self-Hostedで監視して、閾値を越えたらアラートを発信するといった導入事例もある。それまでは管理者がWindowsの管理画面を目視して、異常がないか確認していた業務が、SolarWinds Observability Self-Hostedを活用した自動監視により働き方を改善できたという。さらにSolarWinds Observability Self-Hostedでは、ネットワークに接続されている機器のコンフィグレーションを検査できるだけではなく、スクリプトでコマンドを記述すればリモートでの更新も可能になる。何十台ものルーターやスイッチャーなどを運用しているネットワーク環境では、SolarWinds Observability Self-Hostedのネットワーク機器の設定管理モジュールによって、大幅な業務の削減になる。
オンプレミスからクラウドまで、ネットワーク監視に複数のツールを組み合わせていたり、目視の監視に追われていたりするシステム管理の現場であれば、SolarWinds Observability Self-Hostedの提案によって解決できる働き方改革は多いはずだ。