さまざまな端末やクラウドから確実に業務書類を出力したい
在宅勤務の普及によりワークフローのデジタル化が進む一方、紙書類が必要になるシーンも依然として多い。文書の中には、紙による保管が必要なものもあるからだ。ニューノーマルな働き方に最適な、通信環境や端末問わず使えるプリンター・複合機にリプレースすることで、こうした紙書類の必要な業務を効率化させよう。
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なくならない紙書類の保管対応
働き方改革によってオフィスのさまざまなデバイスが入れ替わる中、意外と見過ごされがちなのがオフィスのプリンターや複合機の存在だ。なぜならば、契約書や機密文書など紙での保管が必要な重要書類の処理業務は残存しており、それを出力する社内の既存のプリンターや複合機は現在の働き方に対応していない問題があるからだ。例えば、モバイルデバイスの利用頻度が増えても、プリンターや複合機がモバイルデバイスからの出力に対応していないケースがある。システム管理者は、多様な働き方やデジタル化に合わせて、紙書類の出力作業においても柔軟に活用できるプリンターや複合機のリプレースを検討することが重要となる。
柔軟に出力可能なプリンターや複合機を検討する際には、リモートワークで必需品となるノートPCだけでなく、スマートフォン、タブレットといったモバイル端末から出力できる機器が望ましい。
クラウドストレージ上にスキャンデータを格納できれば、場所を問わずスキャンデータにアクセスでき、利便性も高まる。
出社人数が減って出力状況が見えにくくなる状況では、セキュリティ対策も強化したい。複合機に搭載されているセキュリティ機能を有効活用することで、機密情報などの安全性を確保できる。
モバイル対応や保護機能が重要
多様な勤務環境とセキュリティに配慮したプリンター・複合機とその機能のポイントを見ていこう。
社内でスマートフォンを支給していたりBYODを許可したりしている場合は、スマートフォン、タブレットからの出力操作に特化したプリンターがお薦めだ。スマートフォン側で操作を完結できる機器であれば、プリンターと自席を往復する時間を短縮できる。
また、クラウドサーバーを介して遠隔地のプリンターに印刷したりスキャンデータを格納したりできる複合機なら、書類のやりとりもスムーズだ。印刷手順や格納先の設定などの手順を減らせる。
フリーアドレスなどによって、誰が書類を出力しているのか把握しにくい勤務環境のセキュリティ強化を図る場合は、保護機能を備える複合機を選ぼう。許可した従業員以外の不正な出力を防止したい時は、印刷やスキャンをする前にあらかじめ複合機側に設定したパスワードの入力を要求する機能が役立つ。プリンター、スキャナーの各機能別の利用制限に対応している複合機であれば、よりセキュアな紙書類やデータの管理が可能だ。
今回は、ブラザー販売、エプソン販売、リコーに製品を提案してもらった。
煩雑な操作不要でコピー&スキャン
DCP-J1200N
ブラザー販売
オープンプライス
モニターレス設計でスマートフォンから印刷・スキャン・設定変更が可能なA4対応複合機「DCP-J1200N」を提案する。
DCP-J1200Nでは、標準モデル「DCP-J926N」などに搭載されているモニターを搭載しない代わり、電源ボタンやコピー/スキャン開始ボタンなどを備えインターフェースを簡素化した。メイン操作は本体ボタンのほか、同一ネットワークに接続したスマートフォンから遠隔で行える。
スマートフォンからの操作は、専用アプリ「Brother Mobile Connect」で行う。本アプリをインストールすることで本体の詳細設定や印刷指示が可能だ。本アプリの活用によって手元のスマートフォンからコピーやスキャン、プリンターのメンテナンス、インク残量の確認などさまざまな操作が可能だ。複合機を設置している場所まで移動してタッチパネルで行う手間やプリンタードライバーでの設定変更の煩雑さを解消できるのだ。動作環境はAndroid 5.0以降、iOS 13.0以降、iPadOS 13.0以降に対応し、AndroidスマートフォンやiPhoneだけでなくiPadでも利用可能だ。
インクは本体前面からワンタッチで入れ替えられるため、インク交換作業も容易だ。インクはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックを1色ずつ交換できる「4色独立カートリッジ」を採用している。ブラックインクは標準モデル「LC411BK/C/M/Y」のインクカートリッジのブラック約6.7本分、カラー各色約3本分のインク量を4本に集約し、モノクロ約2,500枚、カラー約1,500枚を印刷できる。
無料でダウンロードできるスキャンソフト「PaperPort 14SE」では、便利な編集機能をサポートしている。例えば、スキャンしたドキュメントのテキストを認識してWordファイルやスプレッドシートに貼付するOCR機能は、データ編集の際に有効だ。
クラウドを介した場所を問わない書類印刷
PX-S6010
エプソン販売
オープンプライス
リモート印刷やセキュリティ保護機能を備えたA3ノビ対応カラーインクジェットプリンター「PX-S6010」を提案する。
本体サイズは幅515×奥行き400×高さ298mmで、狭いスペースや店舗のバックヤードなどに設置可能な大きさだ。本体下部に「二段カセット」を搭載している。用紙カセットに250枚×2段、背面手差しトレイに1枚と最大501枚の大容量給紙が可能なため、業務中の用紙交換の手間を軽減する。PX-S6010は、最大でA3ノビサイズまでの用紙に対応。トンボ付きA3用紙も縮小せず印刷可能だ。A3やB4サイズのPOP作成、カタログの校正用途などに役立つ。
インターフェースは有線LANを標準搭載している。無線LANも備えており、スマートフォンやBluetooth対応機器から印刷したい場合もケーブルレスで接続可能だ。無線LANの対応規格は、IEEE 802.11b/g/nとIEEE 802.11a/n/acに対応し、2.4GHzと5GHzの周波数帯を利用できる。複数の周波数帯を活用すれば電波干渉が起きにくく、通信速度の遅延などのトラブルも回避する。
モバイルクラウドサービス「Epson Connect」を利用することで、さまざまな方法で印刷やスキャンが可能だ。例えば、PC、スマートフォン、あタブレットなどからメールを送ると印刷できる「メールプリント」機能がある。メールアドレスを取得しているプリンターへ印刷したいファイルを添付したメールを送って本文や添付ファイルの印刷を行う方法だ。メール送付の容易な手順で出力できる。
プリンタードライバーに搭載しているセキュリティ機能としてパスワード印刷の設定も可能だ。印刷ジョブにパスワードを設定すれば、印刷実行後に印刷ジョブがプリンターのメモリーに保存され、操作パネルでパスワードを入力すると出力できる。不特定多数の従業員が共有するプリンターのセキュリティを保護する。
豊富な出力方法やパスワード印刷に対応
RICOH P C200SFL
リコー
オープンプライス
印刷方法や保護機能、通知機能などを豊富に備えた多機能なA4レーザー複合機「RICOH P C200SFL」を提案する。
本体前面には2.8インチのフルカラータッチパネルを搭載した。豊富な情報をアイコンで表示し、印刷設定変更などを容易に行えるUIだ。
本体サイズは幅412×奥行き395×高さ345mmとコンパクトで、小規模オフィスや店舗、自宅のデスクサイドにも設置できる。
トナーと感光体が一体型になった「オールインワントナーカートリッジ」を採用しており、消耗品交換の手間や管理の負担を軽減する。カートリッジは前カバーを開いて引き出す形で交換するため上側にスペースがなくてもトナー交換が可能だ。インクジェットと比較し、RICOH P C200SFLで印刷すると撥水性が高く、紙での保管が必要なビジネス文書の文字をくっきりと印字する。
接続方法は、有線LAN、無線LAN、Wi-Fi Directに対応。Androidスマートフォンからの印刷やスキャンが可能な標準規格「Mopria」、iPhoneの標準印刷機能の「AirPrint」などにも対応しており、豊富な印刷・スキャン方法から最適な機能を選べる。特にMopriaやAirPrintでは専用のアプリケーションをインストールする必要がないため、すぐに出力できる。
印刷やスキャンデータの保護機能として「機能利用制限機能」を搭載している。あらかじめ設定したパスワード(ユーザーコード)を入力しなければ出力できないように制限できる。本機能は、コピー、ファクス、スキャナー各機能別の利用制限に対応する。
また、トナーの残量が残りわずかになった際に任意のメールアドレスに知らせる「E-Mail通知機能」を活用すれば、緊急の書類提出など肝心な時に出力作業がストップする事態を防げる。