コールセンター業務の質を向上したい
多様化する顧客ニーズによってコールセンターやコンタクトセンターの業務は複雑化しており、省人化や自動化の需要が高まっている。そうした課題を解決する手段として対話型AIソリューションの利用が挙げられる。これを踏まえ、コールセンター業務をサポートし、顧客サービスを向上する対話型AIソリューションを提案する。
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クラウドシフトや用途の多様化進む
昨今のコールセンター業務では、多様な形態のAIソリューションが求められている。デロイト トーマツ ミック経済研究所が発刊した市場調査レポート「音声認識と自然言語処理で実現する対話型AIソリューションの市場動向 2021年度版」から、市場動向を見ていこう。対話型AIソリューション市場は、導入形態が多様化傾向にある。例えば、2022年度の市場構成比の内訳は、ソフトウェアライセンスが59%、コンサルティング・SI(ベンダー自社直販のみ)41%だった。また、2022年度のソフトウェアライセンスの動向を見ると、クラウド(パブリッククラウド、SaaS含む)の市場規模がオンプレミスと逆転した。対話型AIエンジンを組み込んだアプリケーションやサービスなど、クラウド需要の伸びが要因だと分析している。
音声認識処理ソリューションは、主力市場であるコンタクトセンター市場からの引き合いが継続したという。理由として、在宅オペレーター化に伴うリアルタイムな遠隔支援の需要が加わったことがある。自然言語処理ソリューションは、コールログをはじめチャットやSNS投稿データなど「Voice of Customer」(VOC)データの分析と活用に適用範囲が広がっている。
クラウドシフトや活用用途の多様化を踏まえ、コールセンター業務の質をより向上するAIソリューションを提案したい。
柔軟な基盤対応から細かな対応改善まで
コールセンター業務のニーズを踏まえて、提案に役立つAIソリューションのポイントを見ていこう。
まず、幅広くシステム構築が行えるソリューションであれば、顧客のシステム環境を問わず提案がしやすいだろう。オンプレミスやクラウドをはじめ、CRMといった各種業務アプリとの連携、それらの設計から実装、運用までをトータルで提供することで、導入時の不安を減らして運用し始められそうだ。
通話中、オペレーターが発した禁止ワードを認識しアラートとして通知できるソリューションがあれば、コンプライアンス対応の改善を図れる。通話音声を後から聞く手間やコストを減らし、スーパーバイザーへの速やかな通知によって顧客の解約防止やクレーム予防に貢献する。手間の多いサービス改善のためのフィードバックを迅速に行えるのだ。
LINE、Microsoft Teamsといった汎用的なチャットツールとの連携に対応しているソリューションは導入しやすいだろう。社内業務システムと連携しAIチャットボットによる作業代行によってチャット形式の救急相談なども省力化できる。
今回は、NTTテクノクロス、伊藤忠テクノソリューションズ、NECに製品を提案してもらった。
電話応対の高度化でCX向上に貢献し、収益拡大やリスク回避を実現
ForeSight Voice Mining
NTTテクノクロス
個別見積
電話応対品質向上や解約防止に役立つコールセンター向けAIソリューション「ForeSight Voice Mining」(以下、FSVM)を提案する。
FSVMは、顧客とオペレーターの通話をAIの高い認識精度でリアルタイムにテキスト化して分析が可能だ。通話内容に応じたマニュアル表示や電話応対記録の自動作成に対応し、オペレーターの電話応対業務をサポートする。オペレーターの応対品質を自動で評価することも可能だ。コールセンターにおける膨大な量の通話音声を定量的・客観的に分析することで、応対品質・CX・販売力の向上といった企業の経営課題の解決に寄与する。また、コールセンター業務を管理するスーパーバイザー向けにオペレーターの通話をモニタリングできる機能や、発話内容によってアラートを通知する機能を搭載している。管理者側も業務状況を可視化しやすい仕組みだ。
銀行法、金融商品取引法、保険業法により、重要事項説明や禁止ワードに関する制約が厳しくなっている。しかし、オペレーターの不適切な電話応対内容を効率的に確認することは難しい。
FSVMでは、あらかじめ設定した禁止ワードをオペレーターが発したタイミングでオペレーターには禁止ワードをハイライトで表示可能だ。スーパーバイザー側には、禁止ワード発生後、即時にアラートを通知する。これにより、不適切トークの見逃しを削減できる。通話音声を後から聞いて確認する手間もなく、モニタリングコストを削減する。オペレーター自身で通話中に禁止ワードの数を確認できるだけでなく、スーパーバイザーへの速やかなエスカレーションを行えるため、顧客の解約防止やクレームの早期解消防止に貢献できる。また、顧客に重要事項を伝えられているかも自動でチェック可能だ。これにより、説明不足を抑止し、コンプライアンス順守を図れる。
非音声系チャネルを利活用
SmartRobot
伊藤忠テクノソリューションズ
クラウド版:33万円〜/月
コールセンターの非音声系チャネルの活用からマーケティング活用まで幅広くカバーするAIチャットボットサービス「SmartRobot」を提案する。
オンプレミスとクラウド型のSaaSに対応し、柔軟なシステム連携が可能だ。パッケージ製品ながら顧客要望に対して幅広くシステム構築が行えるのが強みだ。サーバーやネットワークなどのシステムインフラ、CRMや各種業務アプリとの連携、それらの設計から実装、運用までをトータルで提供できるのだ。
SmartRobotは、自然言語処理能力や知識検索機能を搭載したチャットボットであり、人間と会話を行う感覚で電話対応を自動化できる。AIチャットボットは基本的には文字でのやりとりとなるが、スマートフォンの音声認識機能を利用すれば音声でのやりとりも可能になる。通話の認識精度を上げ、自然なコミュニケーションが行える。随時機械学習を行うチャットボットで応対業務を省人化することで労務コスト削減と顧客満足度の向上を実現し、業務改善をサポートする。
SmartRobotを非音声系チャネルとして利用することで、電話対応業務そのものを代行できる場面が広がる。導入後に他システムや社内データベースなどとの連携を行えば、多様な知識・データの集約が可能となり、活用用途を増やせるのだ。こうしたデータの集約や分析を、電話応対自動化によって空いた業務時間に継続的に行っていけば、デジタルマーケティングへの活用も期待できる。ビジネス拡大に有効なツールと言えよう。
利用シーンとしては、社内ヘルプデスクでの利用のほか、コールセンター、コンタクトセンターなどにも活用されている。BtoC企業の顧客対応窓口の非音声系チャネルでも有用なソリューションだ。