従業員体験

従業員体験は、「エンプロイー・エクスペリエンス」(Employee Experience)を日本語訳にしたもので、従業員の満足度や幸福度を高めること、すなわち従業員体験を向上させることが、社員に向上心や創造性を与え、業績をアップさせるとともに、企業価値を高めることにつながるとする考え方。

従来の企業活動では、ユーザーの満足度を高めることが最優先に考えられてきたが、従業員の満足度とユーザーの満足度には相関関係があることや、従業員の満足度が高い部門は業績も高いこと、また離職率も低いといった研究結果が発表され、現在最も注目される企業経営のポイントとなっている。

海外、特にアメリカでは2000年代の初めから、従業員体験に注目が集まり、研究も行われてきたが、日本で注目されたのはこの数年のこと。その背景には、人手不足が顕著になってきたことがある。採用に膨大な時間とコストがかかるようになり、離職率を低く抑えることがそれぞれの企業にとって大きな経営課題となったことで、いかにして離職率を低くするかを検討する中で、従業員の幸福度が注目されるようになった。

ちなみに、これに関連して「幸せな社員は不幸せな社員よりも、労働生産性が1.3倍高い」「幸せな社員は不幸せな社員よりも、創造性が3倍高い」という研究結果(カリフォルニア州立大学のソニア・リュボミアスキー教授の研究)がしばしば引用される。
(豊岡昭彦)

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