初のオンライン開催!
DIS WORLD Digital Days 2021
2021年2月16〜19日の4日間にわたって開催されたDIS WORLD。16日にダイワボウ情報システム(DIS) 代表取締役社長 松本裕之氏が開会挨拶としてオープニングセッションに登壇し、幕を開けた今回のDIS WORLDは、「DIS WORLD Digital Days 2021」として初のオンライン開催となった。「ニューノーマルで変わる、ITビジネス。その影響と対策を学び、考える。」をテーマに、各種ソリューション展示や講演、セミナーが開催され、リアル開催と変わらない熱気に包まれた。本オンラインイベントの模様を、講演内容を中心にリポートしていこう。
KEYNOTE
ニューノーマルを見据えたDX実現に向けて
MSクラウドが創出するニュースタンダード
コロナ禍により、世界中で大きく進んだデジタル変革。日本マイクロソフト 檜山太郎氏は、キーノート講演において「パンデミック後のニューノーマル(未来の働き方)は、対面型とリモート型が混在した、ハイブリッドな働き方に変わっていきます。当社ではそれらを両立できる仕事環境を、技術力で支援していきたい」と語る。
そうしたニューノーマルの働き方に対して同社が提供するのが、同社のクラウドソリューションだ。Microsoft 365やMicrosoft Dynamics 365、Microsoft Azureなど、ビジネスに必要とされる連携されたサービスを提供し、真のDX支援を通じて「ニュースタンダード」の創造を図っていくという。
「この真のDX支援を実現するためには、販売パートナーさまとの連携が不可欠です。当社は販売パートナーの皆さまによるお客さまへのご支援や、全国各地の顧客課題のデジタル化、クラウド活用による中小企業の競争力強化などを、DISさまとともに取り組んでいきます」と檜山氏は力強く語った。
イノベーションの価値をパートナー様と共に
変化を続ける世界に対応するAWS
175を超えるクラウドサービスを提供するアマゾン ウェブ サービス(AWS)。講演したアマゾン ウェブ サービス ジャパン 長崎忠雄氏は「AWSの機能のうち95%はお客さまのフィードバックをもとに開発しており、変化を続ける世界に柔軟に対応していくインフラとして、販売パートナーさまとともにクラウド導入をさらに加速させていきます」と語る。
また、同社は2017年にパブリックセクター担当部門を設立し、公共分野のクラウド化もけん引してきた。同社 宇佐見 潮氏は「DISさまは日本初となるAWSディストリビューションパートナーです。今後販売パートナーさまを通じた地方公共のお客さまへの営業拡販を期待しており、当社パブリックセクター支援、DISさま、そして販売パートナーさま3社で連携し、日本の地方公共団体へのクラウド化を進めていきます」と語った。
多様性を尊重し共創する日本の未来のために
日本企業の多様性に応えるシスコ
「私たちは、お客さまの信頼されるパートナーとなることを目指しています」とリモートで語ったのは Cisco Systems チャック・ロビンス氏。それらを実現するため、同社では「ワークフォース」「ワークプレイス」「ワークロード」の三つのエリアでソリューションを提供しているとCisco Systemsデイヴ・ウェスト氏は続けた。
1月25日付けでシスコシステムズの代表執行役員社長に就任した中川いち朗氏は「次々と起こる変化に即応できるプラットフォームとして『Cisco Digital Network Architecture』(Cisco DNA)を提供するほか、中小企業向けのテレワークを支援するための『iPad x Cisco Meraki楽々テレワークパッケージ』を1月21日に発売しました。シスコはパートナー企業さまとともに、お客さまのニューノーマルへの対応と日本のデジタル変革を協力に支援していきます」と意気込んだ。
インテルの戦略:データ・セントリック・トランスフォーメーションに向けて
DcXの早期実現を目指すインテルの取り組み
キーノートの講演に登壇したのは、同社 代表取締役社長 鈴木国正氏。鈴木氏自身が年始に撮影した富士山を背景に、「DXをよりデータ中心に考え、攻めのビジネスを行っていく『データ・セントリック・トランスフォーメーション』(DcX)の早期実現を目指し、データの民主化の未来を拓いていきたい」と力強く語った。
同社 井田晶也氏は「なぜインテルがDcXに取り組むのか」をテーマに、高い技術力と中立性によって組織や業界を超えた連携・データ活用を行ってきた事例を示した。また、インテルの製品ポートフォリオはセキュリティ/ソフトウェアとシステムレベルで最適化されており、データの可能性を最大限に引き出せるという。
2021年では、GIGAスクール後を見据えた次世代教育推進支援や5G時代を見据えた取り組み、Project Athenaによる次世代ノートPC体験の実現などに取り組んでいく。
SPECIAL SESSION
COVID-19時代を生き抜くために必要な「個の力」の磨き方
新型コロナウイルスはビジネスに大きな影響を与えた。2020年は移動の制限により、在宅勤務やオンラインを活用した会議や商談など新たなビジネスの在り方が生まれた「リモートワーク元年」になったと圓窓 澤 円氏は話す。
「日々変化する時代の中で、個の力を磨き、生き抜くためには『マインドセット(物事の判断や考え方)』をアップデートすることや一つの業務にかける時間を見直して自身の時間を設けることが鍵を握ります」(澤氏)
通勤や訪問などに費やしていた移動時間はテレワークによって自身への投資時間へと変えられる。個の力を磨くことで、仕事のパフォーマンスが向上し、社会貢献につながっていくという。
クラウド時代におけるカスタマーサクセス志向のビジネススタイルとは
パネルディスカッションでは、パネリストとしてアマゾン ウェブ サービス ジャパンの亀田治伸氏、DIS 土方祥吾氏、コーディネーターを本誌の下地孝雄編集長が務め、国内クラウド市場の現状やクラウドビジネスに対する戦略などが語られた。
コロナ禍を契機にクラウドサービスに関する商談が急激に増えているとDISの土方氏。AWSの亀田氏は「AWSのサービスは中小企業にも向いています。今後は、DISさまと連携し、AWSで提供している175以上のサービスをパッケージ化するなどして、より多くの企業に届けたいと考えています」と戦略を語った。
今こそ、企業経営のワークスタイル変革を!
〜業績を伸ばすための「攻め」のテレワーク〜
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに日本全体のデジタル化が加速しつつある今、企業運営刷新も待ったなしの状況となっている。本スペシャルセッションは、フィラメント 角 勝氏をコーディネーターとして迎え、パネリストとして日本マイクロソフト 西脇資哲氏、ソリトンシステムズ 橋本和也氏、はらぶん 江角修一氏、DIS 塚本小都氏の4名が登壇した。
パネルディスカッションでは、事業継続のために始めたテレワークを「守りのテレワーク」、生産性向上やリソースの最適化などのために行うテレワークを「攻めのテレワーク」として定義している。「『攻め』のテレワークを実践するために必要なものは?」という問いについての議論では、ソリトンシステムズの橋本氏が「Microsoft Teamsのようなツールを企業で積極的に使う方針を打ち出し、隙間で処理を行うことが攻めのテレワークにつながると考えています」と回答した。
BREAKOUT SESSION
電子契約がすぐ提案できる「Adobe Sign」ワンパッケージセミナー
「電子契約がすぐ提案できる『Adobe Sign』ワンパッケージセミナー」では、アドビ 寺尾健登氏、サイボウズ 岡山弘樹氏、k&iソリューションズ 村上啓一氏、DIS 角谷友洋氏が登壇した。アドビが提供する「Adobe Sign」は同一プラットフォーム上で電子契約と電子署名を選択できるクラウド電子サインサービスだ。しかし、Adobe Signを販売する際に必要となる「ソリューション販売パートナー」の認定条件は専任担当者の配置といった人的リソース確保や年3回のセミナー開催時間の確保などハードルが高い。そうしたハードルや技術力への懸念点の多い認定要件に対応する「DISマネジメントパートナー制度」について、DISの角谷氏が紹介した。「本制度は、DISが用意する戦略製品を販売できるという条件が必要です。そして、DISが作成したマニュアルの確認や動画を視聴して趣旨に賛同いただける場合に、申し込むだけで登録が可能となります」最初の戦略製品として、k&iソリューションズの「kintone連携ソリューション」の提供をスタートする。
Google Workspace のご紹介
新型コロナウイルス感染症を受けて急速に変化を求められているビジネス環境。これらに対応するグーグルの統合型ワークスペース「Google Workspace」についてグーグル・クラウド・ジャパン 浦底博幸氏から説明された。
セッション内で披露されたGoogle Workspaceが実現するリアルタイムコラボレーションの動画では、Google Workspaceで営業活動や顧客対応が行われ、空間を問わず共同で自然なコラボレーションができている様子が見て取れた。「Google Workspaceは、チームが必要となる全ての作業を1カ所にまとめ、全てのメンバーが集まって共同作業を行う、空間自体を提供することでコラボレーションを実現するサービスとなっています」と浦底氏は強みを語った。
WVD (クラウドVDI) で、リモートワークをよりスムーズに
テレワークが求められる環境の中で、データの紛失を防止する仕組みでセキュリティを確保する「ゼロトラスト」を基準として活用できるクラウドVDIサービス「Windows Virtual Desktop」(WVD)の訴求力が高まっている。
日本マイクロソフト 高添 修氏はVDI市場における日本マイクロソフトの立ち位置を以下のように説明する。「Windows10の上で動くMicrosoft 365やサーバーコンピューティングに必要なWindows Server、Remote Desktop Service、さらにAzureという基盤も提供していることから、VDIに必要な要素はマイクロソフトがトータルで提供しています。VDIに取り組みたい場合は一度WVDをご検討ください」
Nutanixでハイブリッドクラウドをシームレスに実現
グローバルにビジネスで差を付けられないためには、レガシー文化からの脱却だけではなくアフターコロナも見越して在宅勤務に適応したビジネスを実践できるデジタルプラットフォームの形成が重要となる。ニュータニックス・ジャパンのセミナーでは、同社の三好哲生氏から1クリックでIT環境を簡素化・自動化できるHCIが提案された。
三好氏は「当社では、ハイブリッドのクラウドインフラをオンプレミス/パブリッククラウドの上にも作ることでHCIを『HYBRID CLOUD INFRASTRUCTURE』として再定義します。アーキテクチャを一貫させたことで、プライベートクラウドとパブリッククラウドを自由に連携させてシームレスに運用することも可能です」と語った。
「自治体情報システム強靭化」実現に向けてNECが出来る事
自治体の三層分離の対策は、従来システムの脆弱性を見直し、改定が予定されている。NEC 金澤 良氏は 、Linuxコンテナ技術を用いた仮想セキュアブラウザー「Application Platform for SCVX」(AP4SCVX)を紹介した。
本製品では、ユーザー、デバイスごとの契約や、仮想化基盤、ウイルス対策にかかるコスト、システムの混在によるファイル授受の煩雑さ、三層分離環境でのファイル無害化が難しいといった課題に対応する。「本製品は『同時接続ライセンス』として導入できるため、ユーザーの同時接続数を抑えることで導入コスト削減も可能です。さらに、ファイル無害化やサンドボックスチェックをオプションで提供し、同一製品内で軽快な操作を実感できます」(金澤氏)
GIGAスクール構想で実現する子どもの学び
- 尼崎市の取り組みから -
GIGAスクール構想の国内での整備が進む中、端末整備を経た今後のデジタル活用や学習者用デジタル教科書の実証研究を通じて見えてきた今後の展望について、放送大学 教授の中川一史氏と尼崎市教育委員会事務局 瀧本晋作氏が説明した。
文部科学省ではGIGAスクール構想に向けた学びの変容イメージとして三つのステップを提示している。その内、中川氏が注目したのは「学びを深める」ステップ2の一人ひとりの思考を「可視化」することだ。そうした意見を受けて、尼崎市の取り組みについて瀧本氏は以下のように話す。「デジタル教科書の中に、本文の一部分を付箋のように切り取ってレイアウトする機能があります。これにより、生徒が言いたいことや考えを構造的に見える化できます。まさに中川先生のキーワードとしても上がってきた『可視化』ができ、全体で交流した上でさらにそれを個別に振り返ったりと学びを深めることにつなげられます」
VIRTUAL EXHIBITION
展示会のリアル感をWebブラウザー上に再現
DIS WORLD Digital Days 2021ではバーチャル展示会も開催された。ITインフラゾーンにはインテル、日本AMD、デル・テクノロジーズ、日本ヒューレット・パッカード(HPE)、レノボ・ジャパン、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ、日本HP(HPI)、ネットワーク&セキュリティゾーンにはシスコシステムズ、クラウド&アプリケーションゾーンには日本アイ・ビー・エム、日本マイクロソフト、グーグル・クラウド・ジャパン、アマゾン ウェブ サービス ジャパンなどが出展。そしてDISゾーンにはDISのグループ企業各社が出展し多様なソリューションを紹介していた。バーチャル上の展示会ながら、訪れたブースへの質問がチャットでできるようになっており、リアルの展示会の熱気をオンライン上で再現していた。